地盤   地盤から建築を考える

 第二章 地盤調査その3  No.4

     調査した中で多い不同沈下の理由は、高低差・※1擁壁がらみです。私が携わった不同沈下現場の70%以上が擁壁を
      伴った現場でした。

      擁壁の施工後にはどうしても、埋め戻しが存在します。埋め戻し土が一番危険な状態なのです。特に自然地盤と埋め戻し土の
      両方にまたがって建築することが更に危険度を増大させます。

      皆さんも、造成当初は擁壁天端と
※2GLは水平だったのに、一雨降っただけで、擁壁天端とGLが3〜4cm程度の高低差ができ、
      擁壁と地盤の間に隙間ができてしまっている現場を見た経験があると思います。特に造成地の擁壁付近はこうのような状況に
      なっています。
      
      
※1宅地の区画として傾斜面に設置されることが多い。
      
※2Ground Levelの略で、現状の地盤のこと。

      そのような現状が起きるのは、転圧不足だけが原因ではありません。もうひとつの原因は、水です。擁壁裏は、水が溜まり易く、
      土粒子の結合を剥がしてしまいます。これを飽和状態といいます。飽和状態の弱点は水が抜けると空洞化することです。
      擁壁裏は飽和と空洞化を繰り返しているところで注意が必要です。そのような場所に建物荷重を掛けると、沈下する可能性は高く
      なってしまいます。このような危険な
箇所に建物を建てる場合に調査しなくてはならないものは以下のとおりです。

       
 擁壁のある土地の確認事項

      @擁壁天端と現状地盤との高低差・隙間・・・沈下の進行状況が推察できます。

      A擁壁の高さ・長さ・形・・・埋め戻し土の範囲が推察できます。

      B擁壁の種類・・・RC・見知石等により埋め戻し時の転圧の仕方が推察できます。

      C擁壁の古さ・・・埋め戻し土の締り具合が推察できます。

      D水抜き穴・染み出し水跡・・・擁壁裏の飽和状態が推察できます。

      E擁壁の亀裂・ハラミ・・・建物荷重を追加し、崩壊・ハラミの起きる可能性の検討ができます。

      F擁壁裏の地盤調査・・・現在の地耐力が確認できます。

      最良な方法は擁壁埋め戻しには建物を配置しないことですが、現在の土地事情から考えても、擁壁側へ建物が寄ってしまう
      のも致し方ないことです。その為には擁壁裏の危険性を熟知し、基礎補強・地盤改良工事及び杭工事等不同沈下しないよう
      地盤対策をたて、建物を守ることが必要です。

                                                       

                        
               シールドエージェンシー株式会社 ボス・ネット ビルダー・サクセス・ストーリー2004/6/15 8号抜粋

                                

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